フランス 2000

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samedi 29 janvier 2000 [mauvais]

モン・サン・ミッシェル

今日はモン・サン・ミッシェルへの日帰りツアーに参加する。現地の「マイバス社」主催のツアーで、日本語ガイド付きなのだ。
いつもより1時間早く起き、出発の準備をし、朝食が始まる6時30分に荷物を持って食堂へ行く。集合時間は6時50分。
迎えのバスに乗り、オペラ座近くのマイバス社で一端バスを降りる。そこでおにぎりと水をもらって再びバスに乗り出発する。(7時30分)
今回は大型バス2台でのツアーで、30人ほどが1つのバスに乗っていた。
パリ市内を西へと抜けてからA13高速道路に乗る、バスはひたすら西を目指すことになる。350km、約6時間の道程となる予定。
外は風が強く、雨は徐々に強くなって来ていた。
途中、ガソリンスタンドで休憩。小さなショップが併設されているので、そこでトイレを済ませ、水とジュース、フランス全域の道路地図(32F)を買う。
朝食用と夕食用に前日パンを買っておいたので、もらったおにぎりとパンを昼食にして食べた。
カーン(CAEN)で高速を下りる。その先は工事中だった。
カーンの町は低い平屋が多く、屋根はどこもオレンジの瓦で統一されていた。町を抜け、A84高速道路に乗る。
ようやく雨は上がったが、空は曇っている。バスの窓が汚れていて外の景色は余計にくすんでいた。フランス人はあまり車を洗わないようだ。観光バスでさえ始めから窓が汚れたままだったし、ワイパーのお陰でガラスの汚れた部分がはっきりと分かるが多く、中には後ろのガラスが完全に白く汚れてしまったままの車も珍しくはなかった。タクシーですらそんな状態で走っている。
だからバスや車で観光しても中から写真撮影はできないと思っても良いくらいだ。
さて、高速道路の出口が近づく頃、遠くにモン・サン・ミッシェルが見えた。それは一瞬だった。
高速道路を下りる道に入った頃からはしっかりとその全容が見えるようになった。何もない平原にそれは孤独に耐えるように建っていた。
バスは一端手前のドライブインで停車した。観光のオフシーズンでそこは休みだったが、モン・サン・ミッシェルをカメラに収めて記念撮影するには格好の場所だった。

そこはノルマンディー地方の西の端、5時間半をかけてようやくやってきたのだった。
草原の向こうに写真や映像でしか見たことのなかったモン・サン・ミッシェルが見えていた。フランス最大の湾にあり、モン・サン・ミッシェルは寺院とその下にある集落とで1つの村を形成している小さな城塞だ。
川沿いの堤防の上を通り、モン・サン・ミッシェルへと近づく。草原には羊が飼われていて、時々道路を横断する。川の向こうには海があり、砂浜がある。しかし、砂浜はところどころに人をのむ穴があるらしく、踏み込むことは非常に危険だという。
空も海も灰色で、また雨がパラパラと降っていた。
12時、村の入口にある駐車場に到着した。

バスを降り、昼食を食べるため店に入る。これはツアーに組み込まれていたものだが、てっきり、昼食はあのおにぎりだと思っていたので、実はお腹がいっぱいだった。
クリームシチューのパイ包み、羊の肉、アップルタルトが出た。なかなかに美味しかったが、タルトはやっぱり甘さが強い。
アップルジュース(jus de pomme/15F)、ココア(chocolat/18F)は別料金であった。

食事を終えると、いよいよ僧院の中を見学する。
村は細い路地になっていて、坂道を上がっていく。途中で、日本の地蔵のように壁に誰かの像が納められていた。(写真104)
路地の脇にある家々はほとんどが土産物屋か飲食店だった。しかし、少し上に行くと、住居や墓地もあるのだった。

僧院の入口のチケット売場までは結構な坂と階段を登った。
チケットはもちろんツアーに組まれているのだが、見る範囲に応じて4・5種類あるようだった。でも、入口以外でチケットをチェックするようなところはなかった。
上の開けた空間に出ると、強く吹く風に思いっきり体が押される。
最初に教会の大きな礼拝堂を見た。建てられた当所はどこも豪華に飾られていたらしいが、政治犯の収容所として使われた70年の間にその面影を失い、冷たい岩肌が見られるばかりだ。ステンドグラスもなくなってしまい、透明なガラスがはまっていた。
積まれた石は近くで取れる花崗岩だそうで、緑や赤など様々な色が見えていた。

中はどこも薄暗く、部屋も通路も狭い。
キリスト教において光は天を意味し、神を象徴するものなので、部屋に小さな窓だけを取り付けて、暗闇の中にくっきりと光を作り出して奉っている。
いくつか天使の像や聖人の像などあったが、ことごとく顔が壊されている。キリスト教の弾圧があった際に壊されたのだそうだ。そのため、悪魔の顔ばかりが残ってしまったという。
町中でも見られる光景だが、軒先に雨を落とす仕掛けがあり、ここがガーゴイルになっている。(写真130)

最後は下層にある土産物売場へと出る。ここからしばらくは自由行動になる。
土産物を色々と物色する。ガイドブックが多いが、貴金属などもあるがあまり関係あるものとは思えない。それに高いし。
紙製の組立モン・サン・ミッシェルは本になっていてパーツが細かく用意されていた。根性もいるが、175F(約3500円)は出せなかった。
結局、安くはないが小さめの細長いガイドブックを数冊とへんてこなフィギュアセット3つを買った。このフィギュアはローマ兵とかバイキングとかいくつかのシリーズ毎に4体のダイキャスト製人形が入っているものだった。
外の土産物屋ではレースの小物がけっこう目を引いた。その他には結構大きな土産物が多かった。剣とか銃とかもあった。
1箱49F、2箱で98Fだが2箱おまけというクッキーを買った。一応、地元の名産品らしい。

歩き疲れて昼食を食べた店に入ってカフェオレ(18F)/ココア(18F)を飲んだ。
集合時間がすぐにやってきて、バスに駆け込んだ。

帰りも途中でガソリンスタンドの店に入ったが、とにかくずっと眠っていた。
パリ市内へ戻ったのは21時少し前だった。

ツアーの終わりはルーヴルに近いマイバス社の前だったので、そこからセーヌ川の方まで歩いてみた。
ルーヴル付近の街角で「ジャンヌ・ダルクの騎馬像」を見つけた。でもこの時は気づいてなかったけど。
夜のパリもライトアップされて綺麗だ。オルセー美術館も見えたが、手ぶれのない夜景を撮るのは難しい。
カルーゼル門をくぐって、ルーヴル美術館入口のピラミッドを撮影した。(写真147)
セーヌ河畔での夜景も雰囲気は非常に良いが、人通りは少ない。
夜景観光も早々にホテルへと戻ったのであった。


Next Day

Written by Shurey