Magic: The Gathering

Oriental Gold

This Novel is written by Shurey


Prologue / Sec.1
序章
[Prologue]

大地を支配するものは大いなる力を得る

大いなる力は全てのものを支配する

森羅万象は大いなる大地より生まれる

大いなる力は大いなる大地に眠る

-「神記」より-


 「ドミニア」という世界の全貌は誰にも分からなかった。と言うよりも、その世界そのものが本当に存在するのかさえ危ういことなのだ。誰もがその存在を認めながらも誰も行ったことのない世界。それをドミニアというのだ。
 ドミニアへ行くためには神に等しい力を必要とする。そんな力を得たものを人は畏敬の念を込めて「プレインズ・ウォーカー」と呼ぶ。そして、誰も彼らを見たものはいない。しかし、ドミニアは全ての場所に存在すると言われている・・・
 ドミニアの世界には時間が存在する。そこには歴史が作られる。そして、幾つものドミニアが同時に存在し、それらは互いに交わり、互いを拒絶して存在する。常に新しいドミニアが生まれ、突然として消えゆくドミニアもあった。多元宇宙を織りなす全ての要素がドミニアなのである。

 プレインズ・ウォーカーはいくつもあるドミニアを渡り歩き、散在する「神々の知識」を得るために旅を続けている。その力ゆえに戦火を招き、人を惑わし、神と呼ばれる。しかし、彼らのほとんどは人間であることが多い。魔法使いが大いなる力により神の領域へたどり着いたとき、人々は畏敬の念を込めて彼らをプレインズ・ウォーカーと呼ぶのである。
 魔法使いたちは魔法の力を封じた「呪符」を駆使してその力を発動する。その力の源となる「Land」の恩恵を授かった者のみが、「mana」を体内に蓄え、その力を呪符に吹き込むことで、魔法が発動する。彼らはそれを制御するために大地の精霊と契約を交わす。そして、プレインズ・ウォーカーと呼ばれる者たちは、呪符を使用せずともその力を自在に使うという。

 人は誰しもがプレインズ・ウォーカーになれるのだろうか。運命によって導かれた者だけがなれるのだろうか?過去の盟約により生まれながらにその力を得るものなのだろうか?
 彼らの姿を目にした者は数少ない。そして、「神々の知識」や「神々の遺品」の存在を知る者もまた限られている。
 その力が何を意味するものなのか、それは誰にも分からない。プレインズ・ウォーカーと呼ばれる彼らでさえ、己の存在の意味を探して生きているのである。人は皆、自分の背負った運命を見定めるために生きているに違いはない。


 これからの物語はパンゲアと呼ばれる大陸の東にある「オリエンタル・ドミニア」の一幕である。
 かの地には7つの力が秘められているという。そのほとばしる力は、全ての Wizard が求めて止まないほどの力と美しさと気高さを備え、誰一人としてその力を使い得たものはないという。故に伝説の「オリエンタル・ランド」と長く歴史の中で呼ばれて来た。
 その中で最も気高く美しい Land、「ジパング」・・・。古の昔、オリエンタル・ドミニアの東の端にある大小4つの島には独立国家ジパングが栄えたという。現在その島に君臨するのはその流れを継ぐという「黄金の神国」である。
 また東パンゲア大陸の中央部を支配する「深紅の龍国」は乱立した国家を統一し、以降長きに渡りそこに君臨していた。また、「薫風の旅団」と呼ばれる草原の民が大陸中央の平原を古くから支配していた。  黄金の神国に眠る力を支配する者は誰か。不思議な力に導かれ幾多の難関を越えた英雄達がこの地へ向かい始めた。はたして、大陸の歴史を動かすと言われるジパングを舞台に何が起こるのであろう。歴史はついに動き始めた。